純白のタキシードに身を包み、デュオ・エイムは緊張していた。
目の前には、愛しい恋人が、こちらも純白の花嫁衣装に身を包み、楚々と向き合い、立ち尽くしている。
教会のステンドグラスから春の陽光が差し込み、花嫁のヴェールに反射して輝き、その眩しさにヴェールの向こうの表情は、伺い知れない。
そして、神父が近いの口付けを交わすように宣言し、二人を促す。
照れくさい気持ちを抑えて、デュオが、そっと花嫁のヴェールを持ち上げる。
そして、花嫁と目が合う。
『まさに、運命的な愛の瞬間なのだよ~!』
そう言って、嬉しそうに微笑みながら、花嫁、クモール・カマラン教師が、幾つものドラゴングラスをキラリと光らせた。
「ッッ!?ふおぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉッッ!!??」
カバッと跳ね起き、我知らず叫びながら、デュオが荒い息を吐く。
思わず辺りを見回すと、そこは教会ではなく、薄闇に月光が差し込む、見慣れた寮部屋だった。
まだ、春前だと言うのに、額にじっとりと汗が滲んでいる。
『・・・ん~・・・ふぁ・・・おい、どしたぁ・・?』
デュオの声に、心地よい眠りから叩き起こされたルームメイトが、眠そうな声で欠伸交じりに尋ねる。
「・・・い、いや。ちょと、悪夢を見ちまってさ・・・・わりぃ、起こしちまった。」
まだ早い鼓動をなんとか落ち着かせようと、大きく息を吐いてから、デュオが、そう返す。
『ん~・・・ま、そんな時もあるさ・・・いいから、早く寝ちまえ・・・んじゃ、お休み・・・ふぁ・・・。』
そう応えると、ルームメイトは直ぐに眠りの世界へと落ち、規則的な寝息を立てた始めた。
その寝息を聞きながら、「何故ッカマラン先生ッ!?」との疑問を頭から追い出し、デュオは布団を被る。
こう言う時は、何も考えず寝るに限る。考えても、どうせ夢!しかも悪夢ッ!
それこそ、寝て忘れてしまえ!と目を閉じる。
暫くして、デュオも再び寝息を立てはじめた。
【Take.2】
純白のタキシードに身を包み、デュオ・エイムは緊張していた。
目の前には、愛しい恋人が、こちらも純白の花嫁衣装に身を包み、楚々と向き合い、立ち尽くしている。
教会のステンドグラスから春の陽光が差し込み、花嫁のヴェールに反射して輝き、その眩しさにヴェールの向こうの表情は、伺い知れない。
そして、神父が近いの口付けを交わすように宣言し、二人を促す。
照れくさい気持ちを抑えて、デュオが、そっと花嫁のヴェールを持ち上げる。
そして、花嫁と目が合う。
『・・じゃあ・・・はじめ・・・よ・・・か?・・・あな・・た?』
そう言って、嬉しそうに微笑みながら、花嫁、ローザティア・エルプスが、チャキリと愛用の剣を構え、デュオの首筋に突き付ける。
そして、いつの間にか審判服へと着替えた神父にして、ローザティアの義弟、フォルク・ノクターンが、教会の福音の鐘に代わり、闘いの始まりを告げる、ゴングを鳴り響かせた!
「ッッ!?ちょっと待てぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇッッ!!!???」
布団を跳ね上げ、驚愕の叫びを上げる。
今度も周りを見回すが、やはり、そこは見慣れた寮部屋。
そして、またも、心地よい眠りからたたき起こされたルームメイトが、眠い目を擦りながら抗議してくる。
『・・・おーい・・・またかよ?・・ったく、勘弁してくれよ・・・・ふぁぁぁぁ・・・・』
苛立ちの混じった声のルームメイトに、平謝りしてなんとか機嫌を治めさせると、まだ不満そうではあったが、眠気の方が勝ったのか、再び横になると、これまた直ぐに寝息を立て始めた。
その寝息を聞きながら、「何故ッローザッ!?」との疑問をまたも頭から追い出し、布団を被って横になる。
とにかく、何も考えず寝るに限る。考えても、どうせ夢!ま、まあ、ちょっと悪くないなとは思ったけどさッ!
ともあれ、起きていても仕方ないからと、目を閉じる。
花嫁姿で微笑むローザティアの姿が、何度も脳裏にリフレインし、なかなか寝付けなかったが、それでも、やがて眠気に負け、デュオも寝息を立て始めた。
【Take.3】
純白のタキシードに身を包み、デュオ・エイムは緊張していた。
” ビチ ビチ ビチ ”
目の前には、愛しい恋人が、こちらも純白の花嫁衣装に身を包み、楚々と向き合い、立ち尽くしている。
” ビチ ビチ ビチ ”
海に面した教会の窓から、爽やかな潮騒に乗り、潮騒が室内に優しく響いている。
” ビチ ビチ ビチ ”
そして太陽は二人を祝福するかの様に輝き、届く光は花嫁のヴェールに反射して輝き、その眩しさにヴェールの向こうの表情は、伺い知れない。
” ビチ ビチ ビチ ”
何故か、先程からビチビチと何かが跳ねるような音が聞こえるのだが、きっと気のせいだろう。
” ビチ ビチ ビチ ”
そして、神父が近いの口付けを交わすように宣言し、二人を促す。
” ビチ ビチ ビチ ”
照れくさい気持ちを抑えて、デュオが、そっと花嫁のヴェールを持ち上げる。
” ビチ ビチ ビチ ”
そして、花嫁と目が合う。
『~~ッッ!!こ、このッバカッッ!!ち、ちゃんと責任取りなさいよねッ!!このケダモノ~~ッッ!!!』
そう言って、実に悔しそうな涙目の上目遣いでこちらを見上げる花嫁、アリア・フォルトーネの尾びれアッパーが、デュオの顎を盛大に打ち抜いた。
「ッッッ!!!何で、あの馬鹿だぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁッッッ!!!???」
雄叫びを上げながら布団を蹴り上げ、思わずベットに仁王立ちした瞬間、
『ウルセエェェェェェェェェェェェェェェェェェェェェェェェェェェェェェェェェェェェェェェェェェェェェッッッ!!!!』
とうとうブチ切れたルームメイトの怒りの雄叫びと共に、繰り出されたスタンアタックを後頭部に受け、今度こそ、デュオは朝までの眠りについた。
END
はい、デュオくん初SS!
よりにもよって、初めてがボケ倒しSSだなんて・・・(ホロリ
まあ、でもデュオはフルボッコ要員だから、問題ないよな!うん!(良い笑顔(鬼か・・・
ちなみに、タイトル通り、某黒澤監督の作品見てたときに、このネタ思いつきました。(爆
※3/24、微妙に修正。
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